かつて同人誌として作られた『萌えるヘッドホン読本』。ヘッドホン娘をフィーチャーするという目の付け所や、一方で、きっちりとした製品レビューや丁寧な誌面づくりが話題を呼び、委託開始日の翌日にとなのあなに行って全滅の憂き目に会って刻の涙をみた私と、たぶんその他大勢が居たとか居なかったとかいうあの本が、なんと商業で再リリースです。まさか手に入れることが出来るようになるとは思いもよらなかったので、知ったその勢いでAmazonでぽちっと購入。無事手元に届きました ヽ(´▽`)ノ
製品レビューは見開き2Pで計41製品+41イラスト
商業誌化に当たり、製品レビューが15機種(たぶん)増えて計41機種に。ヘッドホンアンプのレビューやサウンドクリエーター、ヘッドホン開発者へのインタビュー、座談会等が追加されてます。
製品レビューのページはこんな感じ。 右側がレビュー記事、左側がイラストになっていて、見開き2Pで1つの製品のページになってます。レビューは読みやすく、イラストは引き立つようにレイアウトされており、丁寧な誌面作りが伺えます。ちなみに上のは、名器MDR-CD900STのページ (*´▽`)
レビューは 1ページなのでそれほど分量は多くなく、詳しいところまで突っ込んではいません。その分、音の持ち味、外観や構造、生い立ちやどのような流れを汲んでいるか、そして実際の曲を視聴した感想等がコンパクトにまとまっています。
視聴曲には、クラシックから2枚、ジャズが3枚、ロックが3枚、ポップスが15枚からレビュアーが数曲を選んでポイントを挙げている感じです。私がよく聞くテクノ系が1枚もないのが残念なところですが、萌えるヘッドホン読本ならではの試聴ソースというか、ポップス15枚には坂本真綾の『トライアングラー』やアイマスの『MASTER ARTIST 07 三浦あずさ』、ARIAのOST等々、そっち方面が多分に含まれているので(笑)、普段聞くものに近い感じでレビューを読めるのではないかと思います。
掲載されているヘッドホンとイラストレーターはこんな感じ。
[AKG]
K240Studio – 藤真拓哉
K172HD – 近衛乙嗣
K701 – オオツカマヒロ
[audio-technica]
ATH-EM700 – フジシマ
ATH-ANC7 – K2
ATH-ESW9 – PONPON
ATH-W5000 – 鶴崎貴大
[BOSE]
Bose in-ear headphone – GEN
Bose around-ear headphone – えれっと
QuiteComfort – 牛木義隆
[beyerdynamic]
DT990PRO – 〆G
[DENON]
AH-D5000 – まりりん
[ETYMOTIC RESEARCH]
ETY8 – なかりん
[FOSTEX]
T50RP – 松嶋大輔
[KENWOOD]
KH-C711 – 藤真拓哉
KH-K1000 – ゆきみ
[KOSS]
PORTAPRO – 世良敬。
[GRADO]
iGRADO – 水龍敬
GS1000 – MALINO
[Panasonic]
RP-HT7 – 高橋武久
[SENNHISER]
HD595 – フジシマ
HD650 – しろ
[Sensaphonics]
Prophonic 2XS – しろ
[SHURE]
SE530 – 安倍吉俊
[SONY]
MDR-EX90SL – 10mo
MDR-Z900HD – 弖國天音
PFR-V1 – 朝木貴行
MDR-SA5000 – ノンシュガー
[SONY MUSIC]
MDR-CD900ST – 月神るな
[STAX]
SR-001MK2 – 平山外記
SRS4040A(SR404 Signature&SRM-006tA) – 皆村春樹
SR-007A – 玄鉄絢
[ULTIMATE EARS]
super.fi 5 EB – 黒鷺
[ULTRASONE]
HFI-450 – KEI
PRO650 – ノンシュガー
PROline2500 -お山
edition9 – 瑞姫玉蘭
[Victor]
HP-RX500 – 滝美梨香
HP-FX500 – 47AgDragon
HP-M1000 – 小山
HP-DX1000 – K2
お、多い・・・ (;´▽`) 目次では掲載順に並んでいるのですが、せっかくなのでメーカー別でまとめてみました。やっぱりSONY、audio-technica辺りが多いですね。Victorはちょっと意外かな。ラインナップはエントリーモデルの2,800円から最上位は241,500円(!)までと、幅広くそろってます。ちなみに、上記は敬称略。
商業版追加コンテンツでは、サウンドクリエーター&ヘッドホン開発者へのインタビュー
インタビューのページ。AQUAPLUSへのインタビューは、SACDでリリースされた『PURE』を中心に、SACDへの取り組みについて。バンダイナムコのサウンドチーム座談会は、曲作りの時や普段の時どんなヘッドホンを使っていますか?という話題がメイン。プロのサウンドクリエーターの人たちがどんなのを使っているのかは、興味深い話ですね。
もう1つは、ヘッドホン制作者へのインタビュー。SONYとSTAXに聞きに行ってます。
[AQUAPLUS – PURE]
Suara / 下川直哉 / 橋本まさし / 有村健一
[BANDAI NAMCO GAMES SOUND TEAM]
小林啓樹 / 椎名豪 / 高田龍一 / 中田浩二
[川井憲次]
[開発者インタビュー – SONY]
角田直隆(MDR-Z900HD) / 太田貴志(MDR-EX90SL)
[開発者インタビュー – STAX]
目黒陽造社長 / 鈴木一雄(ドライバーユニット設計) / 高木豊(ドライバーユニット設計)
以上、インタビューは計22P。
ワンランク上の音の世界へ旅立つお供に
ということで。変に萌えに媚びるものでもなく、「ヘッドホン」を媒介にレビューとイラストが自然にまとまっている作りは素直にすごいと思いました。ヘッドフォンというものが「感性」に強く依存するものである以上、文面からだけでは全てを把握するのは難しいという面はあります。ただ、それでも「ふんふん、なるほどねー」なんてざっと読み通す感じでも十分楽しめる内容になってますし、それがこの本のいいところかなと思います。逆にイラストの方からヘッドホンに興味を持つ入り方っていうのもアリかなと思いますしね。
私も昔は、ヘッドフォンにお金かけてそんなに音が変わるのかね?なんて思っていた人だったのですが、1000円台のヘッドフォンから1万円台のヘッドフォン(MDR-Z700DJでした)に買い換えたときは、"これまで聞こえていなかった音が聞こえてくる"という体験に震えるほど感動したのを覚えて
います。 「そんなに高尚な音楽を聴く訳じゃないから、私には必要ないよ」なんて思っている人がいたら、もうワンランク上の上の音の世界にはすばらしい感動が待っているよ、と力説したいところです。
その為のお供として、ヘッドホンの力を得てパワーアップするアニソン・ゲームミュージックの世界への入り口として、この本は最適ではないかなと思ったのでした。